日本臨床救急医学会雑誌
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症例・事例報告
三環系抗うつ薬を含む大量服薬による循環抑制に対し脂肪乳剤投与が有効であった1例
松本 紗矢香廣瀬 智也服部 雄司指月 海地戸上 由貴山吉 滋水島 靖明
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キーワード: 大量服薬, 脂肪乳剤
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2020 年 23 巻 5 号 p. 717-721

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抄録

三環系抗うつ薬を含む薬物の大量服用による循環抑制に対しては,従来対症療法が行われてきた。静注用脂肪乳剤は,脂溶性の指標であるオクタノール/ 水分配係数(logP値)2以上の薬物中毒の治療法として近年その有効性が示唆されている。症例は49歳,女性,大量服薬による意識障害のため救急搬送となった。服用薬剤(logP値[実測値/ 理論値])はアモキサピン[不明/2.6]450mg,アミトリプチリン[1.9/5]90mg,トラゾドン[3.85/2.8]600mg などと推察された。薬物服用5時間後に血圧57/33mmHgまで低下し,輸液負荷とドパミン投与には反応しなかったが,20%脂肪乳剤250mLを静注後速やかに血圧84/41mmHgへ改善した。今回,三環系抗うつ薬などの大量服薬による循環抑制に対し,脂肪乳剤投与が有効であった1例を経験した。脂溶性薬物による中毒の治療法として,脂肪乳剤投与は考慮してもよい。

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© 2020 日本臨床救急医学会
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