日本臨床救急医学会雑誌
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原著
緊急入院した超高齢者に対する早期リハビリテーションの効果
―当院救命救急センター救急車搬送患者での検討―
近藤 圭太山北 喜久玉井 宏明岡崎 誉
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2020 年 23 巻 6 号 p. 735-740

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抄録

背景・目的:超高齢者が緊急入院すると,廃用症候群に陥りやすく,入院期間も長びき予後も悪くなることが問題となる。これに対し早期リハビリテーションの効果が期待されるなか,当院の現状を調査し検討した。方法:2017年度の1年間で,救急車搬送され入院となり理学療法を施行した超高齢者243人を対象とし,入院後48時間以内にリハビリテーション開始の早期リハ群と,以降の非早期リハ群に分け,早期リハの効果を,退院時転帰,在院日数などにつき検討した。結果:退院時転帰は,退院,転院,死亡で2群間に有意差はなく,平均在院日数が早期リハ群で縮減した(16.9±11.3日vs 21.8±12.6日,p=0.0195)。疾患別にみると,脳血管系と整形外科系で早期リハ群が多かった。結論:緊急入院した超高齢者に早期リハを行うことは,退院時転帰に有意差はなかったが,在院日数を有意に縮減した。在院日数縮減は廃用症候群の予防や病床回転率に寄与し,超高齢社会に向けての1つの対策となり得る。

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© 2020 日本臨床救急医学会
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