日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
救急/集中治療領域における薬剤師介入の実態と有害事象回避による潜在的な医療経済評価
小林 洋平山岡 怜央三上 龍生山崎 浩二郎熊井 正貴山田 武宏武隈 洋菅原 満井関 健
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2020 年 23 巻 6 号 p. 771-779

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抄録

目的:救急/ 集中治療室(以下,ICU)における薬剤師介入の実態や医療経済効果を明らかにすることを目的とした。方法:2017年7,8月に,救急科に入院した患者を対象とし,疑義照会記録を用いて後方視的に調査した。薬学的知識を要しない介入を単純エラー,薬学的知識を要する介入を薬学的介入と定義し,介入の内容および処方反映率を調査した。また,能動的な薬学的介入(薬剤師からの提案)に関して医療経済効果を算出した。結果:介入は391件あり,そのうち76%(297件)が薬学的介入であった。薬学的介入では,抗微生物薬関係の介入がもっとも多く117件(反映率91%)であった。また,医療経済効果は,2カ月間で3,832,000 円であった。結論:薬剤師の救急/ICUへの参画は,医療経済的に有益であることが明らかとなった。また抗微生物薬関係の介入が多く,今後プロトコル作成などにより適正使用推進に寄与できると示唆された。

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© 2020 日本臨床救急医学会
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