日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
救急隊による交通外傷患者重症判断の陽性的中率
柴橋 慶多坂井 豪杉山 和宏濱邊 祐一
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2020 年 23 巻 6 号 p. 788-793

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抄録

目的:東京消防庁が交通外傷患者のトリアージに活用している「観察カード」記載項目の陽性的中率を評価する。方法:2013〜2016年の間に当救命救急センターに搬送された15歳以上の交通外傷患者を対象とした。重症判断理由を後方視的に調査し,実際の重症度と対照して観察カード各項目の陽性的中率を算出した。結果:801例が解析対象となった。生理学的または解剖学的異常に基づいてそれぞれ268例と49例が重症と判断され,陽性的中率はそれぞれ62%と47%であった。受傷機転に基づいて重症と判断された484例の陽性的中率は17%であった。陽性的中率は受傷機転によって異なり,「車の横転」,「車の高度損傷」,「救出に20分以上を要した」の的中率は12%未満であった。結語:受傷機転に基づく交通外傷患者重症判断の陽性的中率には各項目間に差がある。病院前トリアージ基準の妥当性を検証すべく,さらなる調査研究が求められる。

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