日本畜産学会報
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一般論文
豚舎汚水活性汚泥処理施設の曝気槽における微生物数と処理水質との関係
高橋 栄二
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2002 年 73 巻 2 号 p. 305-311

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抄録

活性汚泥処理は微生物機能を利用した浄化処理であり, 処理過程の微生物の数および種類は運転状態を反映する可能性が考えられる. そこで精密濾過膜を用いた豚舎汚水活性汚泥処理施設の曝気槽に存在するさまざまな微生物を計数し, 処理水質との相関を調べた. 曝気槽のpHと処理水質 (生物化学的酸素要求量 ; BOD, 化学的酸素要求量 ; COD, 全窒素 ; T-N, アンモニア態窒素 ; NH4-Nおよび亜硝酸・硝酸態窒素 ; NOx-N)は相関関係にあり, 曝気槽のpHと好気性菌, 脱窒菌および真菌数との間に正の相関関係が認められた. 処理水のBODは曝気槽の好気性菌, 嫌気性菌, 脱窒菌数との間に正の相関が認められ, 処理水のCODは曝気槽の真菌および放線菌数と正の相関にあり, T-NおよびNH4-Nは曝気槽の真菌数と正の相関にあった. 処理水のNOx-Nは曝気槽の脱窒菌, 真菌および鉄還元菌数のいずれとも負の相関関係が認められた. 本試験の結果, 精密濾過膜を用いた豚舎汚水活性汚泥処理施設の曝気槽におけるいくつかの微生物数は処理水質を反映していることが示唆された.

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© 2002 公益社団法人 日本畜産学会
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