2021 年 24 巻 3 号 p. 314-319
目的:当院ERで経験した孤立性上腸間膜動脈解離11症例を検討する。方法:当院のERで4年間に経験した11症例を対象として患者データを調査して検討を行った。結果:症例の平均年齢は46.5±5.5歳で女性は1例のみであった。全例が腹痛を訴えており,症状出現から受診までは即日受診が7例(64%)で,上腹部痛が8例(73%),突然発症が9例(81%)で持続痛であった。CT検査での解離所見は偽腔閉塞型の割合が多く,4例(36%)が研修医の読影により診断されていた。治療は全例で保存的治療を行い軽快退院した。結論:突然発症の持続する上腹部痛患者は孤立性上腸間膜動脈解離を鑑別にあげて,造影CT検査で上腸間膜動脈の所見を確認することが重要と思われた。また研修医教育において,これらの画像を提示して共有することが有用であると思われた。