目的:救急救命士(以下,救命士と略す)養成課程の学生について,原子力災害に対応する意志や意識に影響を与える因子を明らかにすることを目的とした。方法:救命士養成課程の学生186名に対し無記名自記式質問紙調査を実施し,多変量解析を行った。結果:救命士養成課程の学生の「行動」に直接影響を及ぼす因子は,「放射線リスク認知」「行動コントロール感」であり,「態度・規範」「ベネフィット」は直接的な「行動」への影響は少ないことが示唆された。一方で,その影響の大きさについては集団の背景(学校区分,地理的環境)によって異なることが明らかになった。結論:救命士養成課程の学生について,原子力災害に対応する意志や意識に影響を与える因子が明らかになった。本研究の結果から導かれた,学生の意識に対する共通した特性と,背景の違いによる多様性の双方を考慮して指導にあたることが重要と考えられた。