2020 年 24 巻 3 号 p. 359-366
目的:2人組で胸骨圧迫を行った場合,交代時間が異なれば胸骨圧迫の質にどのような違いがあるか,健康な女子大学生を対象に検討した。方法:対象者16名を2人組に無作為に振り分け,6分間の胸骨圧迫を2分交代,1分交代,30秒交代の3方法で行い,胸骨圧迫の深さ,テンポ,胸骨圧迫比率を測定し,胸骨圧迫の質を評価した。また,脈拍数,アンケートなどより,胸骨圧迫に伴う疲労についても評価した。結果:各方法における30 秒ごとの胸骨圧迫の深さの比較では,いずれにおいても統計学的有意差を認めなかった。しかし,圧迫前後での脈拍数上昇の程度では,30秒交代法がもっとも小さく,実施後のアンケートにおいて,この後も継続可能でもっとも楽な方法として30秒交代法を選んだ者が多かった。考察:以上の結果,30秒交代法は胸骨圧迫の主観的疲労が少なく胸骨圧迫の深さの減衰を抑制できる可能性が示唆された。