日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
長野地域を襲った令和元年東日本台風による2医療機関の避難
岩下 具美中村 光町田 泰一倉石 博東福寺 由起子栁谷 信之清水 謙治深澤 寛明
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2021 年 24 巻 4 号 p. 513-519

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抄録

目的:令和元年東日本台風により長野地域では10月12日に発災し2病院の避難が必要となり,入所者262名を二次医療圏内の44施設へ搬送した。医療過疎地域にある急性期病院や福祉施設への転送には調整が必要であり,その取り組みを報告する。活動概要:病院間および自治体内の情報共有の不備から災害拠点病院の初動が遅れた。発災2〜3日目は急性期病院へ避難し,被災地に勤務する救急医が平時の医療事情を考慮した病院選定と搬送数の調整で142名を搬送した。発災4〜5日目は福祉施設へ避難し,介護保険法に基づき家族の同意が必要となり医療ソーシャルワーカー(MSW)を介入させ,DMAT車輌で120名を搬送した。4日間の活動で要避難者すべてを転送した。結論:転送先病院の特性を加味した患者選定とMSWの介入は,搬出作業を円滑にさせた。災害時の多機関との情報共有の強化,福祉施設転送手段の柔軟性と調整の簡略化が課題であった。

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© 2021 日本臨床救急医学会
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