日本臨床救急医学会雑誌
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症例・事例報告
ICU常駐薬剤師が貢献した薬剤による舌・咽頭浮腫が原因で呼吸困難をもたらした1症例
山本 浩二郎前田 晃佑原口 珠実里岡 達哉青山 瑛里子横山 靖法草薙 みか大里 恭章
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2021 年 24 巻 4 号 p. 588-592

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抄録

薬剤による重篤な有害事象の発生頻度は低く,患者の症状の変化が薬剤性であることを疑うには薬剤師の積極的な介入が有効である。薬剤による有害事象の1つである血管性浮腫は,舌・咽頭に発生すると気道閉塞を起こし重篤な転帰を招く可能性がある。八尾徳洲会総合病院(以下,当院と略す)では集中治療室(intensive care unit,以下ICUと略す)に薬剤師を配置し重症患者の薬物治療管理を行っている。今回われわれは急性の舌・咽頭浮腫により気道閉塞をきたし救急搬送された症例に対して,ICU常駐薬剤師が薬剤性を疑い,医師へ発症機序の説明,代替薬や必要な検査提案など積極的治療介入により診断に結びついた症例を経験したため報告する。また,ICUにおいて薬剤師が介入することで薬剤性の有害事象に関する情報提供をリアルタイムに行うなど,医師の診断と治療方針に大いに貢献し,救急・集中治療の充実を図ったので併せて報告する。

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