2021 年 24 巻 5 号 p. 672-683
COVID-19は空気感染の可能性も否定されておらず,救急車内の換気効率について検証する必要がある。トヨタ救急車を対象に患者室の空調設定を変え,スモークマシンの煙をPM測定器で測定し比較検討した。実験1:空調設定(風量・向き)7条件下で,車内5カ所でPM値を測定した。平均PM値は,リヤクーラー無使用がもっとも低く(30μg/m3),風量強・風向下向きがもっとも高かった(331.2μg/m3)。基準値までの平均時間は,風量強・風向上向きが最短(90秒)で,風量中・風向下向きが最長(300秒以上)であった。平均PM値と平均時間からリヤクーラー無使用が効率のよい換気であった。実験2:処置などが可能な間隙のある間仕切りカーテンをメインストレッチャーの天井から設置し実験1と同様に測定した結果,PM値の低下時間は短縮した。結果:換気効率は空調設定に大きく影響する。空調の使用は空気を拡散し滞留させるため,間仕切りカーテンを設置することで効率的な換気が可能となる。