2021 年 24 巻 5 号 p. 691-695
目的:Rapid response car(RRC)運用開始後6年間の搬送実績をもとに後方視的に解析し,小児救急事例における効果および課題を模索すること。方法:RRCの運用開始となる2013年9月〜2019年8月までの6年間に,RRCが要請された15歳以下の小児患者を対象とした。結果:RRC要請があったのは2,079件,小児例は189件(9.1%)であった。出動キーワードでもっとも多かったのはアナフィラキシーで73件(38.6%)であった。転帰として, 99例(52.4%)が帰宅,23例(12.2%)が救命救急センターへ入院となった。最終転帰として162例(85.7%)が救急外来からの帰宅および,生存退院となったが,10例(5.3%)は死亡退院となった。院外心肺停止症例は13例(6.9%)に出動し,そのうち7例は自己心拍再開,4例が生存退院となった。結論:RRCによる病院前診療は重症小児患者の救命に対して,一定の効果を示せている。