2021 年 24 巻 5 号 p. 739-742
電撃傷によって生じる心室細動は感電現場での死亡につながる。とくにわが国の労働災害における感電死者数は依然として多く,さらなる安全対策が望まれる。今回われわれは,電気工事中に6万ボルトの電撃傷で心肺停止となったが,救命の連鎖により良好な経過をたどった症例を経験した。受傷現場での早期除細動が良好な転帰に寄与したが,現場にはAEDがなく不良な転帰となった可能性がある。電気工事現場におけるAED設置や事業所での一次救命処置講習を普及していく必要がある。