日本臨床救急医学会雑誌
Online ISSN : 2187-9001
Print ISSN : 1345-0581
ISSN-L : 1345-0581
症例・事例報告
アルコール多飲を契機にメトホルミン関連乳酸アシドーシスとアルコール性ケトアシドーシスを合併し循環不全をきたした1例
藤田 野々香金尾 邦夫進藤 健斎藤 豊田熊 清継
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 24 巻 5 号 p. 743-746

詳細
抄録

症例は69歳,男性。2型糖尿病に対してメトホルミン内服中であり,1日焼酎3合程度の飲酒習慣があった。来院前日より腰痛,食思不振が出現し来院した。血液ガス所見でpH6.788,乳酸20mmol/L測定感度以上と重度の乳酸アシドーシスを認めた。尿中ケトン体陽性であり,メトホルミン関連乳酸アシドーシスとアルコール性ケトアシドーシスと判断した。 来院後に循環不全となり高用量の昇圧薬を使用したが,アシドーシスがさらに悪化したため,アシドーシスの改善およびメトホルミン除去目的に血液浄化療法を施行した。開始12時間後にはアシドーシスは改善し,血液浄化療法は終了した。本症例ではアルコールがメトホルミン関連乳酸アシドーシスを助長したと考えられる。迅速な診断および,重症例では血液浄化療法を考慮することが重要と考えられる。

著者関連情報
© 2021 日本臨床救急医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top