2023 年 26 巻 1 号 p. 10-16
背景:中心静脈ライン関連血流感染(CLABSI)を予防するためには,不要な中心静脈カテーテル(CVC)を早期に抜去することが重要である。われわれは医師,看護師,薬剤師による医療チームでCVCの必要性を議論し,不要と判断した時点で主治医にCVCの抜去を提案している。本研究の目的は,チームの介入により,CVC留置期間を短縮し,CLABSIの発症を抑制できるかを評価することである。方法:本研究は当院の集中治療室に入院し,CVCを挿入した患者を対象とした後方視的対照研究である。患者を従来群と介入群に分類した。主要評価項目は CLABSIの発症とし,副次的評価項目は,CVC留置期間,死亡率などとした。結果:対象患者は従来群311例,介入群324例となった。介入群ではCLABSIの発生が有意に減少し[オッズ比0.262(95%信頼区間0.074-0.929,p=0.030)],CVC挿入期間は有意に短縮した(4日 vs 6日;p<0.001)。他の副次評価項目に群間差はなかった。結論:チームによるCVCの必要性を評価することにより,CVC留置期間は短縮し,CLABSIは減少する可能性が示唆された。