日本臨床救急医学会雑誌
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症例・事例報告
ステロイド外用薬の中止からステロイド離脱症候群が疑われた1例
多賀 匠畠山 淳司山本 太平室谷 直樹帯川 史生愛知 省吾尾本 健一郎栗原 智宏
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2023 年 26 巻 1 号 p. 55-60

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抄録

症例は47歳,男性。既往歴として,菌状息肉症があり,ショックバイタルで当院搬送となった。腫瘍崩壊症候群,敗血症性ショックが疑われた。敗血症性ショックによる相対的副腎不全に対してステロイド投与を行ったところ,速やかに循環動態は改善した。その後,ステロイド中止による循環不全が2回みられたため,詳細な病歴聴取を家族より行ったところ,長期間にわたるステロイド外用薬の使用が判明した。ステロイド離脱症候群が疑われたため,ステロイド投与を継続したところ,全身状態は改善傾向にあったが,経過中に肺炎・敗血症性ショックから多臓器不全が進行し,死亡退院となった。剖検の結果,副腎の肉眼的菲薄化を認めた。救急集中治療領域において,ショックの鑑別として,内服薬だけでなく,ステロイド外用薬中止によるステロイド離脱症候群を疑うことも臨床上重要である。

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© 2023 日本臨床救急医学会
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