2023 年 26 巻 4 号 p. 543-547
気道確保を要するLudwig’s angina(LA)の患者に対する気管支鏡下挿管の成功率は比較的高いとされる。今回,気管支鏡下挿管が困難であり,輪状甲状靱帯切開術により救命したLAの症例を経験した。70歳の男性が,来院2日前からの咽頭痛,当日からの発熱,呼吸困難を主訴に搬送された。頸部でのstridorや流涎などの所見から急性喉頭蓋炎による上気道閉塞を疑った。気管支鏡下挿管を試みたが喉頭周囲に著明な浮腫を認め困難であり,輪状甲状靱帯切開術を行った。気道確保後の造影CTで深頸部の膿瘍形成,喉頭蓋の浮腫を認め,今回の病態はLAの炎症が喉頭蓋まで波及したものと判断した。通常,LAの患者に対する気道確保では外科的気道確保の必要性は低い。発症からの時間が長い場合や,嚥下障害,呼吸困難など気道緊急のサインを認める場合に挿管困難となる可能性がある。その際は,輪状甲状靱帯切開術も考慮した対応が重要である。