日本臨床救急医学会雑誌
Online ISSN : 2187-9001
Print ISSN : 1345-0581
ISSN-L : 1345-0581
調査・報告
オゾン発生器による救急車内のオゾン拡散状況の検討
佐々木 広一安田 康晴
著者情報
キーワード: オゾン, CT値, 殺菌, 救急車
ジャーナル フリー

2023 年 26 巻 5 号 p. 622-627

詳細
抄録

背景:近年,オゾンによる新型コロナウイルス不活化の研究が報告され,救急車内の環境表面などの殺菌のためオゾン発生器を導入する消防本部が増加している。しかし,救急車内でのオゾン拡散が均一となっているかは明らかにされていない。目的:救急車内のオゾン拡散状況を把握すること。方法:救急車内にオゾン発生器を設置し,救急車内の前部・中央部・後部でオゾン濃度を測定した。また,培養した細菌の死滅化を目視確認した。結果:オゾン濃度は各測定箇所での濃度差が認められ,機器が表示する濃度よりも,前部では低く,中央部と後部では高い濃度となった。菌の死滅化においても前部で残存が多く認められた。結論:有効CT値に未到達の箇所や過剰な濃度になっている箇所があり,車内拡散の不均一性が示唆された。殺菌できていない箇所がある可能性があり,オゾン殺菌によるメリット・デメリットを考慮し,効果的かつ安全性を確保したうえで適切に使用する必要がある。

著者関連情報
© 2023 日本臨床救急医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top