日本臨床救急医学会雑誌
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症例・事例報告
自殺目的に致死量のパラコートを服用し短時間で死亡した1例
後藤 沙由里関根 萌鈴木 光子小野寺 誠伊関 憲
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2023 年 26 巻 6 号 p. 743-746

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抄録

5%パラコートと7%ジクワット液剤の合剤であるプリグロックスL®は,少量の服用で死亡する。また,パラコートの経皮吸収による死亡例も報告されている。今回,自殺目的に致死量のパラコートを服用し短時間で死亡した1例を経験した。救助者の二次曝露も認めたため,周囲への注意喚起も含めて報告する。症例は58歳,女性。自殺目的に致死量のプリブロックスL®を服用しドクターヘリが要請され,救急車で陸路搬送した。来院から約4時間後に死亡した。機器分析ではパラコートのほか,グリホサートも検出された。一方,患者の夫は両上肢に吐物を曝露したが発赤は認めず,遅発性肺障害も認めなかった。本症例の問題点として,患者搬送方法と救助者の二次曝露があげられた。パラコートの患者の搬送は,患者と医療者の安全を考慮して搬送方法を選択する。また,パラコートに曝露した二次被害者に対しては速やかに除染を行い,入院の目安は皮膚障害が指標になる。

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