日本臨床救急医学会雑誌
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症例・事例報告
急激な経過を辿り救命できなかった腸炎ビブリオによる壊死性筋膜炎の1例
中山 美里中山 雄二朗前田 将具嶋 泰弘前原 潤一
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2024 年 27 巻 2 号 p. 112-116

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抄録

65歳,男性が発熱,意識障害のため救急搬送された。来院時はショックで,右下肢痛を訴え,患部に紫斑と水疱形成が認められた。重症軟部組織感染症として緊急入院し,メロペネム,バンコマイシン,クリンダマイシンの投与を開始した。Finger testが陽性であり,直ちに右下肢切断術を施行した。術後は集学的全身管理を継続したが,紫斑が全身に拡大し第3病日に死亡した。後に血液培養からVibrio parahaemolyticusが検出された。Vibrio parahaemolyticusは主に腸炎を引き起こし,壊死性筋膜炎の原因となることはまれである。壊死性筋膜炎の臨床像は概ねVibrio vulnificusによるものと同様で,免疫不全状態や海産物・海水への曝露がリスクとなり,死亡率も非常に高い。本症例ではアルコール多飲や海水曝露の病歴からVibrio属感染の可能性を考え,テトラサイクリン系抗菌薬やフルオロキノロン系抗菌薬の併用を検討すべきであった。

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