2025 年 28 巻 1 号 p. 83-87
45歳男性が発熱と意識障害で救急搬送され,副鼻腔炎に続発したLemierre症候群と診断した。来院時に眼球突出がみられ,脳静脈洞血栓症と両側内・外頸静脈血栓症,細菌性髄膜炎,脳膿瘍を合併しており,人工呼吸管理のうえ集中治療室へ入室した。中枢神経への移行性を考慮した抗菌薬投与や感染源のコントロールとして副鼻腔ドレナージ術,血栓症に対する抗凝固療法を行い,徐々に意識障害や眼球突出,眼球運動障害は改善し,入院第45病日に神経学的後遺症なく退院した。血液培養からはStreptococcus intermediusが検出,副鼻腔膿瘍からはStreptococcus intermediusとFusobacterium spが検出された。中枢神経病変や眼合併症を伴うLemierre症候群では後遺症のリスクが高く,多彩な病態を呈する本疾患における集学的アプローチによる早期診断・早期介入の重要性が示唆された。