日本臨床救急医学会雑誌
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原著
免疫抑制薬が新型コロナウイルスワクチン接種後の抗体産生に及ぼす影響
新崎 孝夫河野 えみ子山本 知志西村 悠吾五代 寛人石田 篤世福永 千佳子島谷 昌明中森 靖
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2025 年 28 巻 4 号 p. 655-660

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抄録

免疫抑制薬使用中の患者では新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンによる抗体が獲得されにくいことが報告されている。そこで,関西医科大学総合医療センターで新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療を行った患者の中で,SARS-CoV-2ワクチン接種歴のある患者で免疫抑制作用を有する薬剤を使用している群と使用していない群(コントロール群)に分けて抗体価を比較し,どのような薬剤がワクチン接種後の抗体産生に影響を与えるかを調査した。その結果,抗CD20抗体薬,ミコフェノール酸モフェチル(MMF),その他の免疫疾患治療薬はコントロール群と比較して抗体価が有意に低下していた。免疫抑制薬使用群では初回受診時のCOVID-19の重症が多く,高齢になるほど重症度が高くなる可能性も確認できた。また,抗体価が低いほど重症度が高くなる可能性を確認できた。これらの薬剤を使用中の患者にはSARS-CoV-2ワクチン接種による抗体産生が十分に期待できない可能性を説明し,感染予防対策の徹底を指導することが重要である。

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