2025 年 28 巻 4 号 p. 708-712
遊泳に伴い肺水腫を起こす浸水性肺水腫という疾患がある。今回,シュノーケリング中に浸水性肺水腫を発症した症例を経験した。40歳台の男性で,シュノーケリング中に呼吸苦を自覚し,当院を受診した。来院時,経皮的動脈血酸素飽和度は88%であり,胸部CTでは両側すりガラス影・斑状浸潤影を認め,肺水腫の所見であった。「水の誤嚥はしていない」との本人の証言から溺水は否定的であり,浸水性肺水腫と診断した。入院後,非侵襲的陽圧換気を開始し速やかに低酸素血症は改善し,第3病日で退院となった。当院において2021~2023年の3年間で,浸水性肺水腫と診断した4症例のうち3例はシュノーケリングに伴うものであった。本邦における浸水性肺水腫の報告の多くはダイビングに伴うものであり,潜水深度にかかわらず浸水性肺水腫が生じるという認識はまだ低いと考えられる。詳細な病歴を聴取することが,溺水や減圧症と鑑別する点で重要である。