2025 年 28 巻 6 号 p. 898-901
食餌あるいはこれに密接な関係を有する異物によって,まれに腸管腔の閉塞をきたすことが報告されており,食餌性腸閉塞と呼ばれている。また,Meckel憩室はほとんどが無症候性で,癒着や索状物を伴わずに通過障害をきたすものはまれである。今回,癒着や索状物を伴わないMeckel憩室が原因となった,キクラゲによる食餌性腸閉塞を経験したため報告する。症例は32歳男性,腹痛精査の造影CTで,小腸が大量の内容物により著しく拡張し閉塞していたため,緊急手術を施行した。拡張した小腸はMeckel憩室を伴っており,大量のキクラゲが充満し完全に閉塞していた。血流障害および癒着や索状物はなかった。Meckel憩室を伴う食餌性腸閉塞と診断し,憩室を含む小腸部分切除術を行った。術後経過は良好であった。Meckel憩室は癒着や索状物がなくとも食餌性腸閉塞の原因となり得る。食餌性腸閉塞がMeckel憩室を伴う場合は,血流障害の有無にかかわらず,憩室切除術を念頭に置いた治療を行う必要があるため,腸閉塞に遭遇したときは鑑別診断の一つにあげて診断と治療を進めることが望ましい。