2025 年 28 巻 6 号 p. 894-897
緩和的抜管は,終末期患者において苦痛緩和を目的として人工呼吸器を離脱する医療行為である。本邦における緩和的抜管の報告は少なく,体外式膜型人工肺(ECMO)管理下での実施例は見当たらない。本症例は62歳男性,ANCA関連血管炎による呼吸不全と腎不全に対し,VV ECMOおよび持続的血液濾過透析(CHDF)を施行したが,治療に対する反応はみられず,終末期と結論づけた。家族はECMOやCHDFの中止を望まなかったが,苦痛緩和を希望したため,ECMO管理下で緩和的抜管を実施した。抜管後もECMOは問題なく稼働して呼吸状態に変化はなく,苦痛軽減と家族の満足度向上が得られた。ECMO管理下での緩和的抜管は呼吸状態の急激な変化を生じにくく,医療従事者や家族への心理的負担が少ない終末期ケアの選択肢となり得る。