日本臨床救急医学会雑誌
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症例・事例報告
鈍的頭部外傷により両側重度難聴をきたした1例
牛島 宏貴小網 博之三橋 泰仁妻鳥 敬一郎阪本 雄一郎
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2025 年 28 巻 6 号 p. 902-906

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抄録

目的:鈍的頭部外傷により両側重度難聴をきたし,迅速な専門医介入と多職種連携により聴力改善が得られたまれな症例を報告する。症例:72歳,男性。約2mの脚立から転落し頭部を打撲。受傷直後より両側難聴を自覚した。経過:初期CTで右側頭骨横骨折,急性硬膜下血腫等を認めた。第8病日の純音聴力検査で両側重度感音難聴と診断。高次医療機関での精査にて,CTで右半規管断裂を確認したが左側頭骨骨折は不明瞭であった。受傷6カ月後の頭部MRI造影後FLAIR像で両側内耳道末端等に増強効果を認め,両側側頭骨骨折による内耳性難聴と診断した。補聴器の効果は限定的であったため,受傷7カ月後に左人工内耳植込術を施行した。結果:手術および術後の聴覚リハビリテーションにより,機能的聴力回復を得ることができた。結語:鈍的頭部外傷による両側重度難聴に対し,プレホスピタルから専門医療機関に至る迅速かつ一貫した医療連携と,人工内耳植込術の早期導入が,患者のQOL向上につながる機能的聴力回復を実現するうえできわめて重要であることが示唆された。

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