2026 年 29 巻 1 号 p. 1-12
シミュレーション教育は臨床判断力やチームワーク育成に有用だが,単発研修では技能が急速に低下しやすく,評価の主観性や指導者負担,機器・人員不足,学習意欲の維持,多言語展開など多くの課題を抱える。本稿は,臨床救急教育を対象に,生成AIとデジタル技術がこれらの課題にどのように寄与し得るかを既報と自験例から整理・概説し,教育効果やコストへの影響を論じた。教育効果が実証されつつある短時間反復トレーニングやAI支援デブリーフィング,VR・T2Vによるリアル映像教材,NotebookLMやGeminiを用いた教材・テスト自動生成,ゲーミフィケーション,AI翻訳による国際展開の可能性を概説し,学習者行動解析や感情的支援,倫理的リスク管理といった今後の検証課題についても論じた。総じて,生成AIは指導者の代替ではなく協働的支援者として教育の質と持続可能性を高めるツールとして位置づけられ,今後は多様な文脈や教育段階を対象とした学習到達度や患者アウトカム,費用対効果を含む教育の質の指標の実証的検証が求められる。