目的:本研究は,病院前救護の一端を担うライフセーバーの監視活動に着目し,経験年数による着眼点の違いを明らかにすることを目的とした。方法:日本ライフセービング協会の認定資格を保有するライフセーバー8名に半構造化インタビューを実施し,得られたテキストデータに対して頻出語の抽出,共起ネットワーク図,対応分析を行った。結果:非熟練者は「テトラブロック」「遊泳禁止」など局所的で視覚的にとらえやすい要因に注目し,事故の兆候を覚知する傾向が示された。熟練者は「風」「天候」「全体」「声」「お客さん」など環境全体の把握や将来リスクの予測,遊泳客やチームとのコミュニケーションを重視していた。結語:熟練度に応じて監視の着眼点は「局所的覚知」から「予測的かつ関係的マネジメント」へと拡張することが示された。これらの知見はライフセーバー教育における段階的支援や監視体制設計,病院前救護の質的向上に資する。