2026 年 29 巻 2 号 p. 131-135
目的:救急搬送困難が社会問題化するなか,奈良医大ERは2015年より奈良県中和・南和・東和医療圏の搬送円滑化を目的に開始された。本調査ではその導入効果を検証する。方法:奈良県の救急搬送支援システム(e-MATCH)と診療録を用い,奈良医大ER運用開始前(2012年5月1日~2015年9月4日)と運用開始後(2015年9月5日~2023年12月31日)および運用開始後の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大期前後の応需率を比較した。結果:対象件数は339,507件で,病院照会4回以上の割合は運用前11.8%から運用後4.1%に有意に減少した(p<0.001)。COVID-19感染拡大期以降では奈良医大ERのみ応需率が上昇していた。結論:奈良医大ERの導入を契機に病院照会回数4回以上の搬送事例が減少した。またCOVID-19感染拡大期以降では,奈良医大ERが逼迫した救急搬送に一定程度貢献したと考えられる。