2026 年 29 巻 2 号 p. 153-158
胃静脈瘤破裂は致死的な疾患であり,迅速な止血介入が救命に直結する。内視鏡止血が第一選択とされるが,視野確保困難や呼吸循環不全を伴う場合には施行が困難なことがある。今回,内視鏡止血が困難であった胃静脈瘤破裂に対し,傍臍静脈アプローチによる静脈瘤塞栓術を行い良好な経過を得た症例を報告する。症例は77歳,女性。肝硬変に伴う胃静脈瘤破裂で出血性ショックと低酸素血症を呈した。内視鏡止血を試みたが,持続する吐血による視野不良と全身状態の悪化により施行困難であった。腹水貯留のため肝内門脈穿刺による経皮経肝的静脈瘤塞栓術も適応困難と判断した。そこで,拡張した傍臍静脈を穿刺し,後胃静脈由来の静脈瘤をn-ブチルシアノアクリレートで塞栓した。術後は再出血なく経過し,自宅退院した。内視鏡止血や経肝的アプローチが困難な症例に対し,傍臍静脈経由の静脈瘤塞栓術は,救命を目的とした有効かつ安全な治療選択肢となり得る。