目的:外傷データバンク(JTDB)を用い,クラッシュ症候群(CS)が疑われる挟圧外傷群の疫学と病院前対応の現状を明らかにする。方法:2004~2018年にJTDBに登録された外傷症例の中から,転院搬送症例を除外したのち挟圧群(4,358例)と非挟圧群(310,440例)を比較した。また,挟圧群内で四肢AIS≧3とそれ以外で比較,さらに病院前の除細動施行の有無で比較した。結果:挟圧群は,非狭圧群に比し急性腎不全,四肢コンパートメント症候群,心停止などが有意に多く,死亡率も高かった(15.8% vs 10.9%)。挟圧群内の四肢AIS層別では,死亡率の上昇はなく,四肢AISが高い群でよりCSのリスクが高いという仮説は否定された。挟圧群のうち,除細動施行例における病院前の静脈路確保率は0%であった。結論:挟圧群は,重篤な合併症と不良な転帰を示した。病院前段階では,四肢損傷の重症度のみならず,虚血徴候などの身体所見や生化学的指標の総合評価に基づく早期輸液導入と搬送体制が重要である。JTDBにCSに関連する項目を設けたうえでの研究推進が望まれる。