2001 年 4 巻 1 号 p. 18-23
東京の離島の医療需要の変化に伴う最近10年間の救急医療体制の推移について調査検討した。現地医療体制としては医師数が25%も増加したが,離島勤務医師の年間研修日数は減少しており,また看護婦の研修体制は十分には確立されていなかった。今後,医療レベルの保持向上のために検討されるべき課題である。新規に導入された医療機器はCT,電子内視鏡,透析機器などで,人口の多い離島に導入されていた。緊急航空機搬送患者数は増加傾向を示し,搬送機関や収容病院に大きな変動はなかったが,添乗医師に占める現地医師の割合は増加していなかった。また,搬送要請から病院収容に要した時間は短縮しておらず,今後は重症例を分別して取り扱い,現在の事務手続きの簡略化などで時間短縮を図る必要がある。添乗医なしの救急救命士による搬送も現地医師が急変度の低いと判断した症例に行われ,その件数が増加しているが,搬送中急変例が1例認められた。基幹病院の体制としては,屋上ヘリポートの使用頻度が増加しつつあったが,近隣からの苦情で減少した。遠隔医療は当院と全離島の間に平成6年に導入され,搬送適応の適正化などに役立ってきた。インフラの改善に伴い昨年システムアップしたが,その後使用頻度は増加している。