2001 年 4 巻 1 号 p. 24-29
目的:患者を搬送する救急隊員の手洗い方法を評価し,啓蒙すること。方法:患者搬送後の救急隊員(1回目51名)の手洗い前後に手掌を培地にスタンプし,発育したコロニー数をナース(24名)と比較した。結果をもとに手洗い方法の啓蒙を行い,8か月後に再び救急隊員(2回目33名)に同上の検査を行った。結果:手洗いによる除菌率(コロニー数減少率)は,救急隊員で1回目の前期(25名)が11.7%に対し,後期(26名)が52.7%,2回目が48.0%と除菌率の上昇が認められた。ナースの除菌率は93.0%であり,救急隊員に比べて高率であった。救急隊員では手洗い後にコロニー数が増加した者が,1回目前期に10名,後期に5名いたが,2回目にはいなかった。結論:救急隊員の手洗い方法は不十分であったが,啓蒙によってある程度改善し,その効果は半年以上後でも残っていた。このことより継続的な手洗いの啓蒙が必要であると考えられた。