2001 年 4 巻 1 号 p. 36-40
原因不明の心室頻拍,心室細動に対し,種々の薬剤,電気的除細動などに反応しないため,循環補助としてPCPS,IABPを導入,循環動態の安定化が得られた後に膀胱部褐色細胞腫と診断し,外科的治療により軽快した1例を経験した。症例は59歳の男性で15年来の高血圧の既往を有し,膀胱部褐色細胞腫によるカテコラミン心筋症の病態より心原性ショックを来したと考えられた。経過中,多臓器不全を合併するも,血液浄化法をはじめとする集中治療により,臓器障害は徐々に改善し,腫瘍摘出後は循環動態も安定化し軽快退院した。異所性の発生で診断は困難であったが,褐色細胞腫のカテコラミン心筋症に対して補助循環を導入し,救命し得たきわめてまれな症例であると考えられる。