2001 年 4 巻 3 号 p. 303-307
救急外来患者の診察は往々にして,受付した順番に行っている傾向があり,初期治療が遅れることがあった。このことから,患者の状態を見て判断することの重要性を感じ,症状別間診マニュアルを作成した。マニュアル小冊子の使用前,使用後に無作為に選んだ看護婦20人にトリアージができているか面接調査を行い,総合平均点をマニュアルの使用前と使用後で比較した。また,看護婦が救急外来患者40人にトリアージを行い,これを救急医が評価した。その結果,症状別による間診の総合平均点では,頭痛:前5.3点→後10.2点,腹痛:前4.8点→後6.7点,悪心・嘔吐:前4.1点→後8.3点で,症状別マニュアル小冊子使用前と使用後に有意差(p<0.01)を認めた。症状別問診マニュアルを使用することで,問診の内容が具体的かつ観察のポイントが明らかになり,問題点が要約できた。このことは看護婦の観察力と判断力を向上させた。