日本臨床救急医学会雑誌
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症例報告
銅アンモニウム錯塩服毒後,難治性癖痕性食道狭窄を呈した1例
前原 潤一河野 元嗣大橋 教良
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2001 年 4 巻 3 号 p. 308-315

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抄録

無機銅塩剤は,殺菌剤として19世紀初めより使用され,銅アンモニウム錯塩10%含有の®️コボックスも,最近製造中止となるまで広く使われてきた。重金属としての銅を2.8%含有し,強いアルカリ性腐食作用を有する当薬剤は,現在まで嚥下による急性中毒の報告がなかった。当症例では,急性銅中毒に対するキレート剤としてジメチルカプトロール(以下BAL)を使用し,血清銅を速やかに低下させることができた。また,アルカリ化剤嚥下後の腐食性食道炎と,それに続く瘢痕性狭窄に対し,内視鏡下バルーン拡張術による狭窄解除を繰り返し施行したが,根治性を得られず,良性食道狭窄に対し食道金属ステントを留置し,ADLの改善を得ることができた。

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© 2001 日本臨床救急医学会
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