日本臨床救急医学会雑誌
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九州・沖縄地区における高齢者救急患者の実態調査
戸塚 和敏加藤 博之大串 和久伊藤 栄近川渕 久司永嶋 太蓋 雪峰瀧 健治
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2001 年 4 巻 5 号 p. 520-523

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抄録

救急業務に従事するものにとって,高齢者への対応は最も慎重を要するものの一つである。その理由は受診時の状態がすでに重篤となっている患者が多いこと,あるいは全身状態が比較的良好にみえても,実際には多岐の疾患が陰に隠れていることが多いためである。九州・沖縄の34施設で行った高齢者救急患者の実態調査では,65歳以上の患者は入院を要する症例が受診者の53%,心・血管系の病変ではそれぞれ86%・73%と高率であった。今後ますます高齢化社会が進み,高齢救急患者へ十分に対応できる救急体制の整備が必要に迫られている今日,その対策として高齢者の健康管理,疾病の早期発見の重要性が示唆された。また,発病時の救急診療体制はもとより,患者情報ネットワークのような病診連携や介護保険システムの活用を視野に入れた急性期と慢性期一体型の医療体制を押し進める必要性が考えられた。

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© 2001 日本臨床救急医学会
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