2002 年 5 巻 4 号 p. 377-382
奈良県内で平成10年と11年に救急車で搬送され,蘇生対象となった内因性院外心停止症例について,ウツタイン準拠大阪版を用いて検討した。対象の内訳は男性に多く,平均年齢は男性68.4歳,女性73.3歳と女性が高齢であった。医師引き継ぎ時までの心拍再開は97例(8.1%)。心拍再開有無別の両群で,年齢,搬送時間,現場滞在時間に有意差はなく,患者の傍らへの到着時間が短いほど心拍再開症例が多かった。バイスタンダーCPRは256例(24.0%)に行われ,心停止が目撃されバイスタンダーCPRが行われた群に心拍再開例が最も多く認められた。特定行為は299例(25.0%)に実施された。特定行為が実施された群で搬送時間,現場滞在時間の延長がみられた。心拍再開は特定行為実施症例に多く, とくに除細動施行症例が高率(42.5%)であった。また,突然に心停止となるまでの普段の生活状態では,心拍再開は自立群(良好群と中等度障害群)が有意に高率であった。