2003 年 6 巻 3 号 p. 281-286
ドクターカーシステム評価のために,病院外心肺停止症例(OHCPA)救命率と救急救命士生涯教育の二つの観点から検討を行った。1999年3月から2001年10月までのOHCPA 261例を対象とし,ドクターカー出動群(DR群)127例とドクターカー非出動群(非DR群)134例に分けて検討した。覚知から医師治療開始までの時間は,DR群16.8±8.4分,非DR群27.7±8.2分と有意にDR群で短縮されたが(p<0.001),心拍再開率はDR群で45例(35.4%),非DR群で44例(32.8%)と差は認めなかった。救急救命士生涯教育の評価として,ドクターカー乗務を経験した救急救命±10名にアンケートを行った結果,意識・知識・技術・医師との信頼関係構築の4項目すべてに関して良好な回答が得られた。ドクターカーシステムはOHCPA救命率に対しては否定的な結果であったが,救急救命士の生涯教育の場として有用と評価できた。