2003 年 6 巻 3 号 p. 274-280
屋外で発生する水難事故により,毎年1,100人前後の生命が失われる。その多くは着衣状態で,意図せず落水し溺水に至る。着衣状態では水中でもがいても衣類に身体の動きを制限され,顔面を水面に出すことが難しくなる。しかし“背浮き"を行うことができれば,体力を消耗せずに呼吸を確保しつつ,救助を待つことができる。着衣泳は要救助者自身が呼吸を確保するために,着衣状態で行う背浮きを中心とした自己保全のための技術である。救急医療情報研究会は水難事故から生還するための知識・技術としての着衣泳の重要性に着目し,その系統的な指導プログラムの確立をめざしてきた。着衣泳講習会の際に実施したアンケート調査の結果,多くの市民が着衣泳教室の開催を消防に望み,期待していることが分かった。着衣泳講習会は溺死予防活動の一端として地域住民を対象に全国的に展開されることが望まれる。