日本臨床救急医学会雑誌
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調査・報告
救急隊員教育における「人体解剖見学」導入の心理的効果
川岸 久太郎奥寺 敬瀧澤 雅人
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2003 年 6 巻 5 号 p. 512-516

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抄録

信州大学医学部解剖学第2講座では,病院前救急医療を担う救急隊員の資質向上を目的とし,平成12年度から長野県消防学校救急標準課程において解剖体を用い解剖学講義および実習を伴う「人体解剖見学」を行っている。今回,本教育が救急隊員にどのような心理的影響をもたらしたかについて調査を行った。その結果,多くの者が「諸臓器の構造や立体的配置の理解」(72%),「今後の救急救命活動・学習への抱負」(98%)などの項目を挙げた。また,消防職員としての経験年数により有意に変化をみせた項目として,「生命の尊厳の再認識」(p<0.005)などがあった。人体解剖見学によりもたらされる心理的影響には,消防職員としての経験年数に相関しない共通の部分と,経験年数に相関し異なる部分があった。どちらも救急隊員の意識向上には有用であり,人体解剖見学を救急標準課程や救急隊員の生涯教育に取り入れられれば,医学教育のみならず情操教育の面でも有効であると考えられた。

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© 2003 日本臨床救急医学会
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