2005 年 8 巻 1 号 p. 13-16
症例は25歳女性。左季肋部痛を主訴に近医を受診。腹部CT検査にて脾に腫瘤を認めたため,当科紹介入院となった。画像検査にて腹水を認め,また約1カ月前に外傷の既往より,仮性脾囊胞破裂と診断した。経過は良好で本人希望もあり近医での外来経過観察とした。その約1年3カ月後に再度,腹痛自覚にて近医受診。既往より再破裂の疑いにて紹介入院となった。腹部CT検査にて,脾囊胞の縮小と前回以上の腹水の貯留を認めたため,脾囊胞内出血に伴う破裂と診断し,塞栓術を行った。その後再度,囊胞内出血にて塞栓術を追加した。繰り返す脾囊胞破裂は手術適応と考え,摘脾術を施行した。病理組織標本による診断は真性脾囊胞であった。脾囊胞出血,破裂例においては,乳幼児などを除いて手術療法を選択すべきであると思われた。