日本臨床救急医学会雑誌
Online ISSN : 2187-9001
Print ISSN : 1345-0581
ISSN-L : 1345-0581
8 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
症例報告
  • 照井 克俊, 青木 英彦, 菊地 研, 佐藤 紀夫, 及川 浩平, 赤津 智也, 遠藤 重厚
    原稿種別: 症例報告
    2005 年 8 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2005/02/28
    公開日: 2024/03/19
    ジャーナル フリー

    症例1は75歳女性。うっ血性心不全と肺炎の診断で近医入院加療中に塩酸アマンタジンによりTorsades de pointes(TdP)をきたした。症例2は86歳女性。心房細動のためコハク酸シベンゾリンを内服していた。意識消失発作で当院救急外来に搬送され,TdPが認められた。症例3は慢性腎不全で血液透析が行われていた64歳の男性。発作性心房細動にプロカインアミドが投薬されたの ちQT間隔が延長し,TdPが出現した。抗不整脈薬や向精神薬をはじめとする薬物によりQT延長が生じることが知られている。QT延長症候群はTdPを引き起こし,失神や心臓急死の原因となる。本報告の3例はいずれも腎機能低下例であり,常用量でも血中薬物濃度が高くなりQT延長が惹起されたと考えられる。とくに腎機能低下例や人工透析患者への抗不整脈薬や向精神薬などの使用には,投与量の点検と心電図の定期チェックが必要である。

  • 則本 和伸, 廣田 哲也, 野阪 善雅, 塩川 智司, 福島 英賢, 小延 俊文, 奥地 一夫
    原稿種別: 症例報告
    2005 年 8 巻 1 号 p. 6-8
    発行日: 2005/02/28
    公開日: 2024/03/19
    ジャーナル フリー

    今回われわれは,ハムスター咬傷によるアナフィラキシーショックの1例を経験した。症例は17歳女性。ハムスターに右手を咬まれた10分後に右示指から右前腕部にかけて発赤と腫脹が出現し,さらに全身に紅斑と膨疹が広がり,呼吸困難も出現したため当院に紹介された。来院時,血圧82/54mmHg,全肺野に喘鳴を聴取し,ハムスター咬傷によるアナフィラキシーショックと診断した。抗ヒスタミン剤とステロイド剤の投与により呼吸・循環は安定し,翌日には局所所見も改善し退院した。近年のペットブームおよび住宅事情により手軽なペットとしてハムスターの飼育が広まっている。従来よリハムスターに対するアレルギー症状の指摘はあったが,今回ハムスター咬傷による致死的なアナフィラキシーショックを経験した。動物実験従事者だけでなく,一般市民にもハムスター飼育上の留意点として啓発する必要がある。

  • 永野 達也, 伊関 憲, 栗原 正人 , 土田 浩之, 橘 英忠, 久保田 功, 川前 金幸
    原稿種別: 症例報告
    2005 年 8 巻 1 号 p. 9-12
    発行日: 2005/02/28
    公開日: 2024/03/19
    ジャーナル フリー

    突然の意識消失発作によって発症したBrugada症候群(特発性心室細動)を経験した。症例は57歳の男性で仕事中に動悸と呼吸困難が出現し,その後意識を消失した。約10分後に発見され,発見時は呼びかけに応じて開眼する意識レベルであった。来院時,心電図上で不完全右脚ブロック,V1,V2でSaddle back typeのST上昇を認めBrugada症候群が疑われたため,精査加療目的に同日入院となった。入院中,電気生理学的検査を施行したところ多形性心室頻拍と心室細動が誘発され,植え込み型除細動器挿入予定となった。今回の症例を通してわれわれは,救急外来に意識消失の患者が運ばれてきたとき,本症例のような致死性不整脈も念頭に置いて診断を進めていくべきであると考えた。

  • 三木 重樹, 田中 孝也, 山本 透, 津田 雅庸, 北澤 康秀, 中谷 壽男
    原稿種別: 症例報告
    2005 年 8 巻 1 号 p. 13-16
    発行日: 2005/02/28
    公開日: 2024/03/19
    ジャーナル フリー

    症例は25歳女性。左季肋部痛を主訴に近医を受診。腹部CT検査にて脾に腫瘤を認めたため,当科紹介入院となった。画像検査にて腹水を認め,また約1カ月前に外傷の既往より,仮性脾囊胞破裂と診断した。経過は良好で本人希望もあり近医での外来経過観察とした。その約1年3カ月後に再度,腹痛自覚にて近医受診。既往より再破裂の疑いにて紹介入院となった。腹部CT検査にて,脾囊胞の縮小と前回以上の腹水の貯留を認めたため,脾囊胞内出血に伴う破裂と診断し,塞栓術を行った。その後再度,囊胞内出血にて塞栓術を追加した。繰り返す脾囊胞破裂は手術適応と考え,摘脾術を施行した。病理組織標本による診断は真性脾囊胞であった。脾囊胞出血,破裂例においては,乳幼児などを除いて手術療法を選択すべきであると思われた。

feedback
Top