絹素材を低温焼成させたカーボンシルク®️(CS)を用いて熱傷創における治癒効果を検討した。マウス背部皮膚にⅢ度熱傷を作成し,周囲の浮腫を含んだ創面積の経時的計測および,3日後の熱傷創の組織学的検討を行った。CSを塗布した群(CS(+)群)は塗布しない群(CS(−)群) に比べ,創面積の縮小が有意に認められた。また,皮膚全層に占める皮下組織の割合を正常皮膚と比較したところ,CS(−)群は有意に大きかったが,CS(+)群では有意差を認めなかった。さらに,CS(−)群の皮下組織は浮腫を示唆する組織学的所見として,組織間隙や血管・リンパ管が明瞭に確認できたが,CS(+)群では認められなかった。以上の結果から,CSは浮腫をきたす病態の改善に有効であり,創傷治癒を促進する可能性が示唆された。