日本臨床救急医学会雑誌
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原著
広島圏域における重症外傷症例の病院前救護に対する検証結果(2003年度上半期と2004年度上半期の比較)
須山 豪通金子 高太郎石原 晋山野上 敬夫池田 一生三谷 隆友滝 真二藤原 健悟
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2006 年 9 巻 1 号 p. 10-16

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抄録

目的:広島圏域メディカルコントロール(MC)協議会では,2003年度から心肺停止症例と重症外傷症例の事後検証を行っている。2003年度と2004年度の外傷症例の検証結果を比較して病院前救護における問題点と今後の課題について検討した。対象:2003年度上半期(121症例)と2004年度上半期(209症例)の重症外傷検証症例。方法:検討項目は状況評価,初期評価,全身観察において生命の危機に至る可能性を予測し,生命にかかわる処置だけを行い,生命と関係のない処置を省略し,適切な時間内に適切な医療機関へ搬送するというロードアンドゴーの判断(以下L&G判断と略す)や病院選定の適否と現場滞在時間,患者観察時間とした。結果:2003年度に比べて2004年度では初期評価におけるL&G判断と適切な病院選定が統計学的に有意に改善していた。現場滞在時間,患者観察時間は2003年度と2004年度で差はなかった。結論:L&G判断と適切な病院選定の改善は,事後検証や症例検討会をはじめとするMCの成果と考えられる。現場滞在時間や患者観察時間の短縮のためにはさらなる教育訓練等による努力が必要と思われる。

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© 2006 日本臨床救急医学会
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