2006 年 9 巻 6 号 p. 444-449
1999年1月から2004年9月までの5年8ヶ月の間に,吐血・下血を主訴に搬送された上部消化管出血164症例を対象として,出血原因・止血までの時間・止血方法・再出血率・予後を検討した。164症例中ショック(収縮期血圧90mmHg以下またはショック指数1以上)症例は70例(43%)を占めた。ショック症例において,病院搬送から緊急内視鏡検査開始までの平均経過時間は45分であった。再出血症例は23例(14%)で,手術施行症例は5例(3%)だった。来院時心肺停止症例を除くと出血による死亡例は認めず,これまでの報告での死亡率6~8%と比較して,極めて良好な結果であった。内視鏡検査に習熟した救命救急センターの医師が治療を行うことによって,循環動態の早期の安定化と出血に対する決定的治療を連続して時間を浪費することなく行うことができ,救命率の上昇につながることが示唆された。