1989 年 21 巻 2 号 p. 165-174
インド産のクビワスナバシリ Jerdon's Courser Rhinoptilus bitorquatus は一時絶滅と考えられていたが(1952~1982),Bhushan(1986)によって再発見された。本種に近縁のアフリカとインドの8種を19の形質(形態特徴と昼夜行性)についてPAUP分岐分析法(相対形質を0と1または2,3と置く)で比較したところ,アフリカ産のウロコクビワスナバシリR.cinctusと近い姉妹種であることが証明された。これは生物地理学的に東アフリカからアラビアを介してインドに連なる乾燥帯があったことを示唆し,このアフリカーインド動物相(Afro-Indian fauna)は他の鳥類約40種や獣類でも立証される(一般にはアジアーインド系の湿性林が重視されるが)。この希種の保護には姉妹種 R.cinctus を人工繁殖させ本種 R.bitorquatus の卵を孵化させる方法をとれば,生息地保護や教育に加えて効果があると思う。