2022 年 35 巻 1 号 p. 30-37
我々はTURBTの質向上を目的に, 独自に作成したTURBT評価票を用いてレジデント教育を試みた.
2020年6月からの14カ月間に, 本院および分院において若手泌尿器科医 (レジデント) 3名が執刀した61例で評価票を用いた自己他己評価を行った. 評価医師5名は何れも泌尿器科10年目以上であった. TURを準備・粘膜生検・TUR・確認の4段階に大別した. 各段階に項目を作成しそれぞれ5段階で評価した.
1-11症例目では, レジデント2は他2者と比較して自己評価が低い傾向にあり, 準備段階では4項目, 粘膜生検で4項目, TURで1項目の計9項目で3群間に有意差を認めた. レジデント2は14項目で1-11症例に比して12-25症例で自己評価が有意に上昇したが, レジデント3は有意差を認めなかった. 一方他己評価では, 1-11症例目においてレジデント2の評価が有意に低かったのは粘膜生検3項目であった. 1-11症例と12-25症例間では, レジデント2の評価に有意差は認めなかったが, レジデント3では準備段階1項目で12-25症例での評価が有意に低くなった.
自己評価は, 自らを客観的に観察することを促し, 目標達成のために能動的に取り組む助けになると考える. また, 自己評価は評価医師のTURBTを手本とし, そこから相対的に自らのTURBTを評価するのに対して, 他己評価は想像上の成長曲線との相対評価で行うことが推察された. そのため, 自己に比して他己評価では点数がレジデントの経験数に依存しない傾向がみられた. 症例数は少ないが, レジデントは自己評価によってTURBTに臨む姿勢と技術習得の要点を学び, 評価医師は他己評価を通してレジデントのTURBTを真剣に視るようになり, いずれもTURBTの質の向上に貢献すると考えられた.