2022 年 35 巻 1 号 p. 51-59
経尿道的膀胱腫瘍切除術 (transurethral resection of bladder tumor : TURBT) は膀胱腫瘍の確定診断および治療手段として標準的な手技となり, 若い泌尿器科医師にとって, はじめて行う内視鏡的な手術である可能性が高い.
近年は軟性鏡, 生理食塩水を潅流液として用いるTUR in saline (TURis), セカンドTUR, 腫瘍のen bloc切除など治療技術の向上と共に光力学的診断法 (PDD) や狭帯域光観察法 (NBI) など診断技術の工夫が行われている.
これらの技術は前時代の治療法, 診断法の欠点の補完や改善, 要求に応えるために開発されてきたのであり, その歴史や経緯を知ることは現在のTURの問題点や今後の方向性を決定する上でも役立つと考えられる.
新しい技術が開発された論拠となる報告とその時代背景をおさえ将来の発展にむけて現在, 何が必要なのかを考えてゆきたい.