2023 年 36 巻 2 号 p. 151
ロボット支援手術も2022年に多くの泌尿器領域の術式で保険適応になってきました. その中で前立腺全摘除術, 腎部分切除術, 膀胱全摘除術に関しては多くの施設で導入済みであり, よりチャレンジケースにも施行されていることと思います. その中で本企画では, これら3術式における高難易度症例に対してエキスパートの先生に解説していただきました.
まず前立腺癌においては, 天理よろず相談所病院の奥村先生に大きな前立腺および中葉肥大症例に関して解説していただきました. 比較的多く認める中葉肥大に関して膀胱頸部温存に結びつく剥離法などを中心に解説していただき, より簡便で安全に施行できるような解説となっています.
腎部分切除術においては時間との戦いもあり適度な大きさで外方突出型はそれほど負担なく行われているとおもいますが, 完全埋没型・腎門部腫瘍・toxic fat症例・再手術症例など, よりハードルの高い症例も多々存在します. これらの症例に関して東京女子医科大学の高木先生に非常に豊富な経験症例より, 術前準備から良好な視野確保の仕方や丁寧な切離に関して解説していただきました.
膀胱全摘除術に関しては, 本術式のパイオニア的な岐阜大学の古家先生に困難症例を挙げ解説していただきました. 膀胱は比較的大きな臓器でそれを把持や剥離展開することもオンコロジカルアウトカムを考えながら行う必要があります. それらを考慮に入れつつ異なる困難例の7症例を挙げていただきました.
以上の3術式は現在のロボット支援手術の多くを占めており, それぞれの先生の示唆に富んだ内容は目の前の困難症例を打開するに十分な内容になっています. 本特集を一読するだけでなく, 手術前の解説書として利用していただければ至福の限りです.